《心》讲述的是“先生”结识并爱上了房东家的小姐,同时也赢得了房东太太的好感,但却因年少时曾受到叔父的欺诈而对他人时存戒心,迟迟不能表白自己的心意。后来,“先生”的好友K住进了房东家里,也爱上了小姐,直率的K向好友“先生"表白了自己的心事,“先生”在表面上批评K“不求上进”,背地里却偷偷地向房东太太提出要和小姐结婚。知道了这一切真相之后的K在绝望中自杀了,同时K的死也留给“先生”一生的不安和自责,婚后的“先生”一直无法忘却K,他的内心无比的寂寞,终于也走上了自杀的道路。
奥さんは自分一人で行くとはいいません。私にもいっしょに来いと命令するのです。お嬢さんも行かなくてはいけないというのです。今と違った空気の中に育てられた私どもは、学生の身分として、あまり若い女などといっしょに歩き廻(まわ)る習慣をもっていなかったものです。その頃の私は今よりもまだ習慣の奴隷でしたから、多少躊躇(ちゅうちょ)しましたが、思い切って出掛けました。
夫人不说自己去,而是要我也一起去。并说小姐也非去不可。我们这些当学生的,是在跟今天不同的气氛中成长起来的,那时还没有同年轻女人一起闲逛的习惯。当时的我比现在更是习惯的奴隶,所以多少有些踌躇,但还是硬着头皮出门了。
お嬢さんは大層着飾っていました。地体(じたい)が色の白いくせに、白粉(おしろい)を豊富に塗ったものだからなお目立ちます。往来の人がじろじろ見てゆくのです。そうしてお嬢さんを見たものはきっとその視線をひるがえして、私の顔を見るのだから、変なものでした。
小姐精心地打扮了一番。她那本来就白皙的肤色,又擦了厚厚的白粉,所以更惹眼了。街上的行人,都侧目看她。而且看过她后,又准是把视线转过来看我,弄得我很不自在。
三人は日本橋(にほんばし)へ行って買いたいものを買いました。買う間にも色々気が変るので、思ったより暇(ひま)がかかりました。奥さんはわざわざ私の名を呼んでどうだろうと相談をするのです。時々反物(たんもの)をお嬢さんの肩から胸へ竪(たて)に宛(あ)てておいて、私に二、三歩遠退(とおの)いて見てくれろというのです。私はそのたびごとに、それは駄目(だめ)だとか、それはよく似合うとか、とにかく一人前の口を聞きました。
我们三个人来到日本桥(东京商业区之一),买了要买的东西。买的时候挑来挑去,没料到耽搁了时间。夫人故意叫着我的名字,同我商量怎么样。她常常把衣料从小姐的肩头竖着搭在胸前,叫我后退几步看看。每次我都是这件不行啦,这件很合适啦,用成人的口气谈论着。
こんな事で時間が掛(かか)って帰りは夕飯(ゆうめし)の時刻になりました。奥さんは私に対するお礼に何かご馳走(ちそう)するといって、木原店(きはらだな)という寄席(よせ)のある狭い横丁(よこちょう)へ私を連れ込みました。横丁も狭いが、飯を食わせる家(うち)も狭いものでした。この辺(へん)の地理を一向(いっこう)心得ない私は、奥さんの知識に驚いたくらいです。
我々は夜(よ)に入(い)って家(うち)へ帰りました。その翌日(あくるひ)は日曜でしたから、私は終日室(へや)の中(うち)に閉じ籠(こも)っていました。月曜になって、学校へ出ると、私は朝っぱらそうそう級友の一人から調戯(からか)われました。いつ妻(さい)を迎えたのかといってわざとらしく聞かれるのです。それから私の細君(さいくん)は非常に美人だといって賞(ほ)めるのです。私は三人連(づれ)で日本橋へ出掛けたところを、その男にどこかで見られたものとみえます。
这些事情耽误了很长时间,待要回家时,已经该吃晚饭了。大概夫人为了对我表示谢意,便提议下饭馆,领着我走进一家叫木原店说书场的窄巷子里。这儿不但巷子狭窄,饭馆的房间也很窄。我对这一带情况一向不熟,而夫人如此熟悉,真叫我有点惊奇。
入夜我们才回到家里。第二天是星期日,我一天没出门。星期一去上学,一清早就有个同学跟我开玩笑。他故意问我什么时候结的婚。接着又夸我的妻子是个标致的美人。好象我们三个人去日本桥时,不知在哪里给他看见了。
主播介绍
主播:YC 编辑:LMN
注:本节目仅用于分享和学习交流,不得转用和商用,内容版权归原作者所有。若有侵权,请在作品下方留言,我们会尽快删除。