【日语共读】《罗生门》连载(5)

皆さん、こんばんは、ヒマワリと申します。

听众朋友们大家晚上好,我是今天共读栏目的主播ヒマワリ。今天我们继续共读日本小说家芥川龙之介先生的短篇小说《罗生门》。では、一緒に聞きましょう。

羅生門

芥川龍之介

その髪の毛が、一本ずつ抜けるのに従って、下人の心からは、恐怖が少しずつ消えて行った。そうして、それと同時に、この老婆に対するはげしい憎悪ぞうおが、少しずつ動いて来た。――いや、この老婆に対すると云っては、語弊ごへいがあるかも知れない。むしろ、あらゆる悪あくに対する反感はんかんが、一分毎いっぷんごとに強さを増して来たのである。この時、誰かがこの下人に、さっき門の下でこの男が考えていた、饑死うえじにをするか盗人ぬすびとになるかと云う問題を、改めて持出もちだしたら、恐らく下人は、何の未練もなく、饑死うえじにを選んだ事であろう。それほど、この 男の悪を憎にくむ心は、老婆の床に挿した松の木片きぎれのように、勢いきおいよく燃え上り出していたのである。

看着头发一根根拔下来,家将的恐怖也一点点消失了,同时对这老婆子的怒气,却一点点升上来了——不,对这老婆子,也许有语病,应该说是对一切罪恶引起的反感,愈来愈强烈了。此时如有人向这家将重提刚才他在门下想的是饿死还是当强盗的那个问题,大概他将毫不犹豫地选择饿死。他的恶恶之心,正如老婆子插在楼板上的松明,烘烘地冒出火来。


下人には、勿論、何故老婆が死人の髪の毛を抜くかわからなかった。従って、合理的には、それを善悪ぜんあくのいずれに片づけてよいか知らなかった。しかし下人にとっては、この雨の夜に、この羅生門の上で、死人の髪の毛を抜くと云う事が、それだけで既すでに許すべからざる悪であった。勿論、下人は、さっきまで自分が、盗人になる気でいた事なぞは、とうに忘れていたのである。

他当然还不明白老婆子为什么要拔死人头发,不能公平判断这是好事还是坏事,不过他觉得在雨夜罗生门上拔死人头发,单单这一点,已是不可饶恕的罪恶。当然他已忘记刚才自己还打算当强盗呢。


そこで、下人は、両足に力をはいって、いきなり、梯子はしごから上へ飛び上った。そうして聖柄ひじりづかの太刀に手をかけながら、大股おおまたに老婆の前へ歩あゆみよった。老婆が驚いたのは云うまでもない。老婆は、一目下人を見ると、まるで弩いしゆみにでも弾はじかれたように、飛び上った。

于是,家将两腿一蹬,一个箭步跳上了楼板,一手抓住刀柄,大步走到老婆子跟前。不消说,老婆子大吃一惊,并像弹弓似的跳了起来。


「おのれ、どこへ行く。」

“吠,哪里走!”


下人は、老婆が死骸につまずきながら、慌てふためいて逃げようとする行手を塞いで、こう罵ののしった。老婆は、それでも下人をつきのけて行こうとする。下人はまた、それを行かすまいとして、押しもどす。二人は死骸の中で、しばらく、無言むごんのまま、つかみ合った。しかし勝敗しょうはいは、はじめからわかっている。下人はとうとう、老婆の腕をつかんで、無理にそこへ扭ねじ倒した。丁度ちょうど、鶏にわとりの脚のような、骨と皮ばかりの腕である。

家将挡住了在尸体中跌跌撞撞地跑着、慌忙逃走的老婆子,大声吆喝。老婆子还想把他推开,赶快逃跑,家将不让她逃,一把拉了回来,俩人便在尸堆里扭结起来。胜败当然早已注定,家将终于揪住老婆子的胳臂,把她按倒在地。那胳臂瘦嶙嶙地皮包骨头,同鸡脚骨一样。

今天的共读到此结束,感谢大家的收听。

では、おやすみなさい。

  本期监制: 日语之声

本期小编: 沫    言

  本期主播: ヒマワリ


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